認印での印鑑登録はやめた方が良い

 例えば新たに車両を購入する時や、新たに土地や家を購入する時など。こうした大きな財産を購入する大事な契約には、必ずと言っていいほど「実印」と、その実印を登録していることを証する「印鑑登録証明書」のセットが必要になります。

 市役所で発行する「印鑑登録証明書」は、大事な契約書に押印する印鑑(実印)が、間違いなく自身が市役所に登録する印鑑と一致していることを証明(=契約を行うのは間違いなく自身の意思であることを証明)する役割を果たしています。大事な契約に押す印鑑は、特注で作成している方も多いかと思います。

 ただ、実はこの印鑑登録、【100均の認印】でも行えてしまいます。

 市役所側は、あくまで市民が「これが自分の実印として登録します」と申し出る印鑑を登録するに過ぎないため、それが最高級の象牙印鑑であろうと100均の量産品であろうと登録を断ることはありません。そのため、【実印として使える(どこでも購入できる)認印】を作ることが出来てしまうのです。

 私も車両登録業務において、依頼者に印鑑証明書の準備をお願いすることがありますが、まれに「これは100均の印鑑だな」と分かる印鑑登録証明書をいただくことがあります

 もちろん手続き上は何の問題もありません。印鑑証明書と、それに一致する委任状への押印さえあれば、車両の名義変更等は支障なく行えます。

 とはいえ、この認印と実印の兼用にはリスクが伴います。

 万が一印鑑カードを盗まれてしまった場合、それが認印での登録であれば、盗んだ人は100均の同じ判子を用意するだけで悪用できてしまうのです。本来は「印鑑登録証明書」と「実印」のセットが揃わなければ、印鑑登録証明書は効力を発揮することができないという事実が、契約において一種のセーフティネットとなっています。しかし100均の認印を登録してしまうということは、このセーフティネットを自ら破いてしまうことになるのです。

 そうなれば最悪の場合、本人が知らぬ間に車や土地を売却されてしまうことにもなりかねません。

 こうした事態を避けるためにも、登録する印鑑は横着せずに、(二つと同じ印影にはならない)きちんとした手彫りの印鑑を用意することをお勧めしています。

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